偽装物件に評価書、2機関を処分へ

 北海道の浅沼良一・2級建築士による耐震強度偽装問題で、国土交通省は12日、偽装が判明した16物件中6件に対し、二つの住宅性能評価機関が「耐震強度などに問題がない」とする住宅性能評価書を交付していたことを明らかにした。

 国交省は住宅の品質確保促進法に基づき2機関を処分する方針。偽装を見逃したのは「日本ERI」と「ハウスプラス住宅保証」。両機関は2001〜04年にかけて、偽装が判明した札幌市内の分譲マンション3件ずつに対し、耐震性や耐火性、防音性能などが一定の水準に達していることを証明する同評価書を交付した。

 住宅性能表示制度での偽装見逃しは、元1級建築士姉歯秀次容疑者(48)の偽装物件1件でも見つかっており、国交省では「消費者保護のための制度が結果的に機能しなかったことは遺憾で、評価方法を検討したい」としている。

 札幌市は12日の市議会で、新たに偽装を確認したマンション6棟のうち、2002〜04年に建築確認が行われた3棟の耐震強度が1に満たなかったとの調査結果を報告した。内訳は、住友不動産(東京)が耐震強度0・75と0・86の計2棟、大京(同)が同0・81の1棟。住友不動産は、2棟のうち1棟が「大規模な補強工事が必要」と判断し、住民から販売価格で買い取り、建て替える方針。

 残る1棟については、比較的軽微な補強で基準を満たすため、同社で全額負担して補強工事する方向。

 大京は、限界耐力計算での再計算も実施しながら、補強工事を実施する意向を住民に伝えた。

(2006年5月13日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20060513hg01.htm