マンション強度不安 新たに北電系の賃貸2棟も 1棟は入居中  2006/03/06 07:04

 耐震強度に疑問が生じたとして、住友不動産(東京)が札幌市豊平区で建設中の分譲マンションの販売を中止した問題をめぐり、新たに北海道電力のグループ会社が建設した同市中央区の賃貸マンション2棟も同じ理由で入居予定者への解約手続きを始めたり、入居者に説明を始めていたことが5日分かった。また、住友不動産が西区に建設中の分譲マンション1棟についても、販売中止の措置を取っていたことが明らかになった。

 新たに入居募集の取りやめが判明したのは、北電のグループ会社の北電興業(札幌)が中央区南一二西一三に建設した賃貸マンション「エナコート山鼻」。鉄筋コンクリート十階建て、2LDK三十戸で昨年四月着工、今年一月完成。今月十八日から十五戸が入居予定だった。

 同社によると、一連の構造計算書偽造問題を受け、北電のグループ会社が昨年十二月に構造計算書を再検査したところ、建築基準法の要件は満たしているが、安全性を確保するには余力を持った耐久性が必要との判断に至ったという。今後、第三者の民間検査機関でさらに詳細な調査を行うため、今月の入居は困難と判断。三日から入居予定者との間で解約手続きを始めた。

 一方、同社が一昨年建設し、既に二十二戸が入居する同区大通西二二の賃貸マンション「エナコート大通22」(二十三戸)も同様の状況といい、同社は入居者に対し「場合によっては退去もありうる」などと説明しているという。

 同社の原栄一・不動産管理部長は「入居が決まっていたのに契約を解除するのは、おわび申し上げるしかない。再調査後、行政の判断も仰ぎながら、補強工事を行うかなど、適切に判断したい」と話している。

 山鼻の物件に入居予定だった市内の男性会社員(38)は「妻は一カ月前から家具の配置を考えるほど楽しみにしていた。北電の看板も信用していたのに、裏切られた感じだ」と話した。

 また、住友不動産で新たに販売中止が分かったのは同市西区発寒九の一二、「パークスクエア発寒駅前メイプルサイド」。鉄筋コンクリート地下一階、地上十五階で、分譲戸数は百四十九戸。昨年九月着工で、今年十月の入居予定となっていた。

 約二割が契約済みで、住友不動産は入居予定者に順次面会。豊平区で販売中止となった「シティハウス福住公園通」と同様、手付金に補償金を加えて返還する条件で、解約手続きを進めている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060306&j=0030&k=200603069393