<耐震偽造>総研社長、鉄筋減らし自ら推奨

 耐震データ偽造問題で、偽造が発覚して次々に休業している全国のビジネスホテルの開業指導をしている「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の内河健社長(71)が、工法・経営指導先の中小ゼネコン向けの会報で、構造設計担当の建築士を代えてでも鉄筋を減らすよう推奨していたことが分かった。計算式を基に、単位面積当たりの鉄筋量を減らすことを詳細に記載しており、社長自らが構造設計に深く関与していた実態が浮かび上がった。
 総研は、ホテル開業指導の一方で、全国の建設業者300社に技術・経営を指導。うち約160社は、海外の資材や工法を導入できる「SG会」として登録し「特別情報」とする会報を配布されている。
 問題の個所は、今年7月号に内河社長の直筆のコピーで「構造設計・設計屋さんの考え方で大へん(大変)な差がある現実の話」と題して書かれており、設計にかかわった二つのホテルを比較。一方の「Pホテル」の1平方メートル当たりの鉄筋量が109.2キロなのに対し、「Sホテル」は69.55キロで、差の39.65キロにPホテルの延べ床面積をかけて165トンの鉄筋(1824万円分)を節約できるとしていた。さらに、この節約分が建築請負費の2.6%にあたるとして「構造計算屋さんを変えるだけで2.6%原価が違うんですよ」と強調している。
 総研の幹部の一人は、毎日新聞の取材に対し「実際の見積もりで、内河社長から『まだ鉄筋量を下げられる』と指示されることはある」などと答えている。
 内河社長は2日に国土交通省で開いた会見で「構造計算のことまでは考えていなかった」などと話していた。しかし、00年7月の業界誌「月刊レジャー産業資料」のインタビュー記事で「いまでも私が鉄筋量いくら、コンクリートがいくらというところまで計算し、設計の指示をします」と答えていた。【吉永磨美、鈴木梢】
毎日新聞) - 12月10日3時9分更新
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