木村建設などにも「おかしい」と通告 神奈川の設計会社

2005年12月02日06時15分


東京都港区のビルをめぐる関係図

 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次建築士の構造計算書偽造を見抜いた東京都渋谷区の設計事務所と神奈川県の設計会社が、検査機関への通報に加えて木村建設コンサルタント会社の総合経営研究所(総研)にも、姉歯建築士の構造計算は内容がおかしいと通告していたことがわかった。だが、両社はその後も姉歯建築士と多くの仕事を続け、欠陥マンションやホテルが各地に建つことになった。

 木村建設の篠塚明東京支店長は11月29日の衆院国土交通委員会で、姉歯建築士の構造計算について「不具合があるとは考えていなかった」と述べた。総研の内河健代表取締役朝日新聞の取材に「構造計算の偽造とは全く関係がございません」と文書で回答した。

 設計会社は03年秋、東京都港区の10階建てビルの設計を受注。知り合いから「仕事が早い」と紹介されて姉歯建築士に構造計算を依頼し、設計事務所代表が再計算して不正を見抜いた。設計事務所代表は04年4月、建築確認した日本ERIの担当者に姉歯建築士の構造計算について点検するよう指摘していた。

 設計会社側が姉歯建築士と初めて会ったのは03年11月。神奈川県内にある同社で顔合わせをした。姉歯建築士のほか、篠塚支店長、総研と木村建設の子会社・平成設計の担当者も同席したが、設計会社社長によると、この3社は設計会社の受発注先ではなく、姉歯建築士に「ついてきた」のだという。この場で最も多く発言したのは総研の担当者で、姉歯建築士はほとんど話さなかった。

 姉歯建築士平成設計建築士であることを示す名刺を使っていた。

 姉歯建築士の偽装を知った設計会社は04年2〜3月、木村建設と総研の担当者を呼び、姉歯建築士の構造計算には誤りがあり、耐震強度が低いという趣旨を通告した。設計会社によると、呼ばれた担当者たちは黙って聞いていたという。

 総研と平成設計について木村建設関係者は「総研は各地の企業経営者にビジネスホテルの建設を勧め、施工・木村建設、設計・平成設計のセットを指定していた」と話している。平成設計は本社が総研のビルに入居している。