耐震偽装で建て替え、建築確認の愛知県に賠償命令…地裁判決

 元1級建築士姉歯秀次受刑者(51)による耐震強度偽装事件で、強度不足で建て替えられた愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」(中川三郎社長)が、建築確認をした愛知県と、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都)などを相手取り、ホテルの建設費や休業補償費など計約5億1600万円の支払いを求めた訴訟の判決が24日、名古屋地裁であった。戸田久裁判長は「審査を担当した県建築主事は安全性を保つための注意義務を怠った」などとホテル側の主張を全面的に認め、県と総研側に計約5700万円の支払いを命じた。


 県側は建築確認審査について「審査対象は建築基準法など法令が決めた項目だけ」と主張したが、判決では、今回の設計が、すき間のある耐震壁を1枚の壁としたり、1階部分に耐震壁がなかったりした点などを挙げ、「建築の専門家としての常識的判断に反し、耐震強度が確保されない危険な設計。(法令の明記がなくても)審査対象になる」と指摘。「建築主事は設計者に問い合わせるなど調査をする必要があったが、これを怠った」と結論づけた。

 ホテル開業を指導した総研にも「安全性を確保するため、業者を適切に選定し、指導監督する注意義務があった」とした。

 ホテル側は建設費用や休業補償などの賠償を求めたが、判決は、耐震補強工事にかかる費用に限定して認め、賠償額を算定した。

(2009年2月24日22時09分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090224-OYT1T00641.htm