藤田社長爆弾告発、安晋会関連物件も偽装

 耐震強度偽装を見逃した確認検査機関イーホームズ(廃業)の架空増資事件で、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪に問われた社長の藤田東吾被告(45)に対し、東京地裁は18日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。検察側が主張した架空増資と耐震強度偽装との関係は退けられた。藤田被告は判決後に会見し「でっち上げ」「公権力の乱用」と激しく反発。安倍晋三首相(52)とも関連が深い「アパの物件でも偽装が行われた」と爆弾告発した。

 “見せ金”で増資したという罪は有罪となったが、裁判長は起訴事実と耐震偽装事件との因果関係は「明らかでない」と否定した。そのため、司法記者クラブで会見した藤田被告は「なんでイーホームズが悪いのか」と激高。「耐震強度偽装と関係なく逮捕された」と、国や捜査、報道への批判を繰り返した。

 判決に対しては「裁判官が耐震偽装と見せ金増資の因果関係がないと言ってくれた。検察の主張を認めなかったことが一番うれしい。これで十分」と短くコメント。その後は「建設業法や宅建業法の問題。いずれ官僚たちは自分たちのミスに気付く」「他の会社の耐震偽装を告発したわたしを黙らせるための逮捕だ」と批判を繰り返した。

 その上で、イーホームズが確認検査をしたホテル・マンション大手「アパ」の3つの物件でも「耐震偽装があった」と明かした。藤田被告が指摘したのは(1)埼玉・鶴ケ島市のマンション「アップルガーデン若葉駅前」(2)千葉・成田市のマンション「アパガーデンパレス成田」(3)川崎市内の物件。偽装に気付いたのは今年2月で、藤田被告は「国交省に通報してアパ物件の調査を要請したが、担当者に取り合ってもらえなかった」と述べた。

 関係者によると、埼玉と千葉の物件は今年6月、構造計算書に疑問点があることが表面化。現在も工事は中断したままで、アパ側はキャンセルに応じているという。

 アパは安倍首相の後援会「安晋会」の有力後援者で、同社の広報誌には、自らCMにも登場するアパホテル元谷芙美子社長らと安倍首相がワインをたしなむ写真が掲載されている。そのため、藤田被告は、安倍首相と親しいアパを守るために、自身がスケープゴートされたと思ったようだ。暴露本の出版も明らかにし「耐震偽装事件に結び付けることは真実の歪曲(わいきょく)だ。あなたたちが真実のジャーナリストなら真実を知らしめるべきだ」と訴えた。

[2006年10月19日8時3分 紙面から]
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20061019-105553.html