サムシング物件再計算は建築主負担〜福岡市は助成しない方針

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(業務休止中)が福岡市内のマンション3棟の構造計算書を偽造したとされる問題で、市は建築基準法に基づき、同社が構造計算した市内の物件の建築主に、原則として自己負担で計算書の再計算を求める方針を固めた。

 同社の物件は市内だけで数千件に上るとされるため、市の計算書調査費助成事業の対象外とし、建築主の責任で偽造の有無や安全性の確認を求めることにした。

 市によると、同社が構造計算を手がけた件数は、2002年に業務を休止するまでの約20年間で約1万2000件に上るとされ、その多くは市内とみられている。市が現在把握しているのは40件だが、福岡県や業界団体などによる調査でさらに増える見込み。

 一連の耐震強度偽装事件を受け、市は1月から、構造計算書の再点検への助成事業を開始。マンション管理組合や所有者が再点検を行う場合、分譲マンションは費用の3分の2、賃貸は3分の1を補助する内容で、新年度予算案にも1680万円を計上している。

 しかし、再計算には1件平均で約63万円の費用がかかり補助額も数十万円に上る。今後、サムシング物件が大量に持ち込まれた場合、予算の枠内では対応しきれない可能性がでてきた。

 このため、建築主が倒産したケースなどを除き、建築主の責任で再計算を行って結果を市に報告するよう求めることにした。日本建築構造技術者協会だけでは対応しきれないため、他団体にも協力を求める。

 市建築局は「建物の安全性などを確認する責任は建築主にあり、再計算を行わなければ確認は難しい。新たに判明する物件を含め、建築主の責任で対応を求めていきたい」としている。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06022804.htm